2020年4月から、75歳以上は「フレイル健診」が始まります。
フレイルと聞くと、どのような症状だったり、どのような影響があるのか、さっぱり分からない方も多いと思います。
老年期に起こる、フレイルは体にさまざまな影響を及ぼすそうです。
本日はフレイル健診についてご紹介します。
フレイルとは?

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健康と要介護状態の中間を「フレイル」と呼びます。
自分自身がフレイルかどうかを確認する「フレイルチェック」が全国に広まっていっています。
健康イベントやショッピングモールなどで「フレイル」の文字を見かけたことがある、という方もいるのではないでしょうか?
フレイルは身体の状態だけでなく、社会との関わりを含む日常生活全般を見つめ直すことで改善することができます。
フレイルは厚生労働省研究班の報告書によると、「加齢とともに心身活力が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」だと定められています。
フレイルの基準とは?
そんなフレイルの基準は次の5つ。
- 体重減少(ダイエットなどではなく、年間4.5kgまたは5%以上)
- 疲れやすい(何をするにも面倒だと週に3、4日感じる)
- 歩行速度の低下
- 握力の低下
- 身体活動量の低下
フレイルは体重減少や筋力低下といった身体的な変化だけでなく、気力の低下などの精神的な変化や社会的な変化も含まれます。
フレイルになってしまうと、死亡率の上昇や身体能力の低下も併発。
老人性うつと誤認されやすいこともあり、とても気をつけなければならない病気なのです。
フレイル状態に陥いると、風邪をひいただけでこじらせ重症化(肺炎など)してしまったり、体の慢性的なだるさのために転倒しやすくなり、打ち所が悪ければ打撲や骨折をしてしまうことも。
また、入院をきっかけにフレイルを発症することもあります。
入院という環境の変化に対応できず、一時的に認知症状(自分がどこにいるのかわからなくなる)が発現したり、自分の感情をコントロールできなくなる、といった症状も報告されています。
転倒や打撲、骨折で入院することで、寝たきりになってしまうこともあるので、周囲が注意深く様子を見ておく必要のある病気なのです。
そんなフレイルを見つけようと全国各地でイベントが開催されています。
イベントではフレイルの簡易テストが行われているので、フレイルかも?と少しでも疑問を持ったら参加してみてはいかがでしょうか?
簡単フレイルチェック
両手の親指と人差し指でひとつの輪を作り、ふくらはぎを囲む。
このとき、隙間ができてしまう場合は要注意。
このフレイルチェックを作った東京大学高齢社会総合研究機構の飯島教授は、ふくらはぎが細い人ほどフレイルの度合いが進んでいるといいます。
実際に千葉県柏市で約2000人を対象に実施した調査では隙間ができる人の総死亡リスクが、輪っかでふくらはぎがつかめない人の3.2倍だったそうです。
これはあくまで簡易テストですが、ふくらはぎが細い人は要注意かもしれません。
フレイルを予防・対策するには?
フレイル予防とともに、重症化を防ぐにはバランスの良い食事と適度な運動が欠かせません。
食事の摂り方や運動方法を工夫することで、フレイルの重症化を防ぐこともできます。
まず一つ目に重要なのは「共食」。
日本の65歳以上の家族構成は2015年時点で、一人暮らし世帯が624万世帯超。
この傾向は続いており、年々一人暮らし世帯が増加しています。
一人暮らしの高齢者はひとりで食事を摂る「孤食」になりがち。
孤食だと品数も少なくなりますし、食べる食材も偏りがちになります。
食欲が低下するとさらに食べる量が減少し、低栄養状態に陥りやすくなるのです。
一方で共食の場合、コミュニケーションを取りながら食事ができるので、意識的にせよ無意識にせよ食べる意欲が増すものです。
共食の場合は、多くの人数の食を作るため、品数も多くなる傾向があります。
そのため、低栄養状態を避けられるのです。
次に重要なのが口腔内。
年齢を重ねると噛む力、飲み込む力といった口腔機能が低下します。
口腔機能が低下すると、硬い食材が食べられなくなったり、うまく飲み込めずにむせてしまったりすることがあります。
また、歯や歯茎が弱くなって噛む力が低下すると、肉、繊維質の野菜などの硬い食材が食べにくくなり、柔らかい食材ばかりを食べるようになってしまいます。
柔らかい食材ばかり食べていると、どんどん噛む力が低下して食事の質も低下するのです。
定期的に歯科受診をして、口腔機能を保つことを意識するほか、普段の食事から噛み応えのある食べ物を食べるようにしましょう。
運動ももちろん大切。
ウォーキングも良いですが、ウォーキングもハードルが高いと感じる方はテレビを見ながら足を上げ下げする、できるだけ歩いて買い物に行ってみる、といった生活習慣の変更もおすすめ。
少しずつ運動の習慣を身につけると良いですね。
厚生労働省が推進するフレイル健診ガイド

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厚生労働省は2020年度から、75歳以上の後期高齢者を対象にフレイル検診を導入します。
この検診では、半年間で2キロから3キロ以上の体重減少があったか、三食きちんと食べているか、普段から家族や友人と付き合いがあるか、といった質問に答え、フレイルかどうかを判断します。
従来の介護予防は主に運動機能の回復に重点を置いてきました。
これに対し今回のフレイル検診は、生活習慣や社会的な活動状況なども具体的に調べ、心身の衰えの原因を探るのが特徴です。
全国の市区町村では、高齢者が歩いて通える公民館などの施設で体操や茶話会などを実施しています。
こうした場に積極的に参加し、適切な生活リズムを身につけておけば、健康寿命を伸ばせるでしょう。
どうしても高齢者の一人暮らしは社会とのつながりが薄れがちになります。
積極的にこうした集まりに参加することで、社会とつながることができ、いくつになっても健康で長生きできる生活を身につけることができるでしょう。
高齢者に筋力が重要な理由は?

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フレイルの診断において重要なのは筋肉量です。
日本は平均寿命と健康寿命の間には約10年の乖離があります。
80歳で死ぬとしても、健康で活動的な生活ができるのは70歳までということですね。
これはあくまで平均ですが、健康寿命を延ばすことが「ピンピンコロリ」のポイントといえるでしょう。
活動的で健康的な日常生活を送る上で重要となるのが、筋肉。
しっかり頭筋肉量を維持することで、最近の研究によると病気になりにくく長生きする傾向があることも明らかになってきています。
骨格筋はスポーツ選手が能力を発揮するために重要な筋肉ですが、健康的な日常生活を送る上でもとても大切なものなのです。
サルコペニア
骨格筋は加齢とともに低下していきます。
加齢に伴う筋肉の衰弱はサルコペニアと呼ばれ、40歳以上の1/4の人に、80歳以上の半数の人に見られると言われています。
サルコペニアを予防・治療することが、健康寿命伸ばす大きなカギと言えるでしょう。
高齢者であっても、適切な負荷の筋力トレーニングを継続すると、筋力増強の効果が得られると言われています。
筋力トレーニングの効果を得るためには、高強度の負荷を筋肉に与えてトレーニングを行うことが有効であることはご存知の方も多いはず。
しかし高齢者の場合、筋組織が若者に比べると傷つきやすく、そのことから病気や怪我、関節の痛みなどにつながるリスクが高いようです。
そのため高齢者の筋力トレーニングでは、あまり高負荷なトレーニングは行わず、個人個人にあったかたちでトレーニングを行うことが重要です。
自分の体重を負荷とする「自重トレーニング」がおすすめ。
体重しか負荷がないので比較的強度の弱いトレーニングを行うことができます。
例えばスクワットを行うにしても、サクサクと回数をこなすよりはゆっくりと時間をかけて下げてあげると言ったスロートレーニングが効果的なようです。
このほかに日常的にウォーキングを行ったり、活動的な生活を送ることでも筋肉をつけることができます。
トレーニングも大切ですが、いつもより少しだけ座る時間を短くしたり、散歩の時間を設けたりして、積極的に外出するようにしましょう。