最近、疲れやすくなった…。もしかして、筋肉枯れ?

体内の筋肉量が落ちていく「筋肉枯れ」をご存じですか? 普段から、どのようなことに気をつければよいのかをご紹介します。

なぜ筋肉枯れが起きる?

◆加齢に伴い筋肉は減少する

体の筋肉にはさまざまな働きがあり、
①手や足を動かす
②体を支える
③血液の循環を助ける
④骨を強くする
⑤脂肪を燃焼させて熱をつくる(代謝)
などがあげられます。
体の筋肉量は20歳から60歳までの間に、15〜20%ほど落ち、60歳を過ぎるとさらに2倍のスピードで減っていきます。しかも、これは適度に体を動かしている場合の話で、外出時に車ばかり利用するなど、運動不足の生活を続けていると、もっと速いスピードで衰えていきます。

◆無理な食事制限にも注意

カロリー制限だけに頼るダイエットにも注意。脂肪が落ちるより先にまず筋肉量がぐんと落ちてしまいます。そうなると、いざ運動をしようとしても、減ってしまった筋肉で体を支えて動かすので、どうしても疲れがちに。その結果、「すぐ疲れるから運動したくない…」ということになり、筋肉枯れの加速にもつながります。

◆筋肉枯れのリスク

日常生活への影響も少なくありません。まず内臓に脂肪がたまって、いわゆるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)になりやすくなります。筋肉が体を支えられなくなると、関節や腰、ひざの痛みの原因にも。歩行や階段の上り下りなど日常的に体を動かす能力が落ちるロコモティブシンドローム(運動器症候群)にもつながります。
また、筋肉で作られた熱は内臓の働きを活性化させ、尿や便の排泄を促します。筋肉枯れになってしまうと、余分な水分の排泄がうまくできなくなり、体を冷やすことになります。

とにかく予防

筋肉は何歳になっても増やせるという研究データがあります。筋肉枯れの悪循環を断ち切るためには、生活習慣を改善することが大切です。

◆少しでよいので、まず「動く」

まず、無理のない範囲で体を動かすことから始めてみましょう。特別な運動をしなくても動く量を増やしたり、早足で歩いたりするだけでも、筋力の低下は抑えられます。
また、雨の日や夜間でも、屋内でできる運動をしてみましょう。その場で走るように「腕振り」するだけでも、運動量を増やすことができます。

すき間時間でエクササイズ

◆信号待ちやエレベーターの中で……ふくらはぎを鍛える

脚を腰幅程度に広げ、つま先を少し外側に開いたら、つま先立ちをしてかかとを高く上げる。

◆階段で……太ももやお尻を鍛える

階段の真ん中に足裏全体を付け、1段抜かしで上る。いったん脚を揃え、反対の脚も同様に。転ばないよう、手すりに手を添えながら行う。

◆パソコンに向かいながら……太もも、腹筋を鍛える

脚をクロスさせて上の脚は下に押すように、下の脚は上に押し上げるように、両脚で押し合う。

食生活を見直そう

糖質、脂質、たんぱく質の3大栄養素に加えて、ビタミンやミネラルなども過不足なく取る工夫を。意識的に摂取したいのは筋肉のもとになるたんぱく質や、代謝を促進する食物繊維、ビタミンB群です。

◆たんぱく質

肉類・魚類・乳製品・大豆製品など良質のたんぱく質の摂取を意識しましょう。

◆食物繊維

きのこ類・いも・豆類は腸を動かし代謝を上げる食物繊維を豊富に含んでいます。

◆ポリフェノール

茶葉に含まれる茶カテキン、コーヒー豆に含まれるクロロゲン酸などのポリフェノール成分は、脂肪燃焼を助ける働きがあります。