おいしい新米が食べられる季節になりました。さまざまな品種が店頭に並び始め、選ぶのに迷うほど。いろいろな種類を試して、味の違いを楽しんでみませんか。
進化し続けるお米
毎年のように新品種が登場
とれたてのお米が出回り始める季節です。日本で栽培されているうるち米(普段食べているお米)の品種は、2023年4月時点でおよそ320種あります(米穀安定供給確保支援機構調べ)。
毎年のように地域の新品種が登場していますが、実はデビューまで10~15年かかると言われています。何千種もの中から数々の食味試験を経て、おいしいお米の苗を絞り込んでいるのです。
それぞれの品種の特徴を味わう日本穀物検定協会が発表する「米の食味ランキング」では、白米の香りや味などの総合評価が最高の「特A」とされた産地・地区・品種は2022年産で40に上ります。産地は幅広く、北海道から鹿児島まで。全国の生産者はどんな特徴を打ち出すかにしのぎを削っているのです。
銘柄による炊き分けができる機能が付いた炊飯器もあり、選りすぐりのおいしいお米を食べ比べて味の違いを感じるのも、新たな楽しみ方といえそうです。

自分好みの味に出合う
少量ずつ食べ比べてみる
自分好みのお米を見つけるには、いろいろな銘柄を食べ比べて味の違いを知ることです。数種類の品種を2~3合ずつ小分けにした食べ比べセットなら、手軽に試すことができます。量り売りをしている米穀店があれば、さまざまな品種を少しずつ買ってみましょう。違いを意識しながら食べるうちに、好きな品種や好みの生産者が見つかるかもしれません。
もっちり系? さっぱり系?
近年は甘みや粘りの強い「もっちり」系のブームが続いているといわれています。もっちり系はでんぷんを構成するアミロース含有量が少なく、もち米に近い粘りと甘みが特徴です。洋食や肉料理など、しっかりした味の料理にも負けないタイプといえます。冷めても風味が変わりにくいため、お弁当やおにぎりに向いています。
一方で、ベタつかずあっさりとしたおいしさが売りの「さっぱり」系は、寿司や薄味の和食と合う品種です。
最近は、数種類をブレンドした、カレーやおにぎり、チャーハンなど料理別の専用米も登場しています。
おいしい炊き方
① 研ぐ──手早さがカギ
お米が入ったボウルに水を一気に注ぎ、4~5回混ぜてすぐに水を捨て、かき回すように洗います。これを3~4回繰り返します。ぬかくさくならないよう、すすぎは素早く行うのが重要です。お米を傷めないよう、あくまでもやさしく扱いましょう。
② 浸す──芯まで水分たっぷり
研いだお米を水に浸します。芯までたっぷり水を浸透させるとおいしく仕上がります。夏場は最低30分、冬場なら1時間が目安。水分量が多い新米の場合は、時間を短めにしましょう。
③ 蒸らす──ほぐしてふっくら
自動的に蒸らす機能がない炊飯器の場合、ご飯粒の水分を均一にするために10~15分ほど蒸らします。炊き上がったご飯は、空気を入れるように底から全体にほぐすことでふっくらします。
意外に知らない豆知識
新米の定義は?
新米と表記して販売できるのは、収穫年の12月末日までに精白・包装された精米だけです。
おすすめの保存方法は?
おいしく食べるなら精米したてに限ります。お米は数週間で食べきる量を目安に購入しましょう。保存場所は10℃以下の冷暗所がよいとされています。冷蔵庫の野菜室での保管がおすすめ。ペットボトルや密閉できる保存袋に入れると、収納しやすく場所を取りません。
普通のお米と無洗米の違いは?
無洗米とは通常精米の周りに付着しているぬかを取り除いたもので、洗米が不要なお米のこと。研ぐ水を削減できる上、研ぎ汁が出ないため環境にやさしく、ビタミンB1など水溶性の栄養分が多く残るというメリットがあります。
お米は太る?
健康維持のための理想的なカロリーバランスは、炭水化物60%以上、たんぱく質15%、脂質20~25%といわれています。バランスを保つには、お米をしっかり食べるのがおすすめです。
お米に含まれる糖質は肉などに含まれる脂肪よりも、優先的にエネルギーとして消費されやすいのが特徴。粒状のお米はかむ回数が自然に増えるため、脳が刺激されて満腹感が早く得られます。その上、腹持ちがよく、体に脂肪をためるホルモンの分泌も緩やかになります。
こうしたことから、お米は太りにくい食べ物といえるのです。
