みずみずしく真っ赤なトマトがおいしい季節です。ビタミンやミネラルなどの栄養がぎゅっとつまっているだけでなく、抗酸化作用も期待できるリコピンも豊富に含まれています。
トマトの豆知識
トマトの語源は「膨らむ果実」という意味の「トマトゥル」からきているといわれています。メキシコに栄えたアテスカの人々がこのように呼んだのが始まりなのだとか。一方、イタリアでは「ポモドーロ(黄金のリンゴ)」、フランスでは「ポム・ダムール(愛のリンゴ)」、イギリスでは「ラブ・アップル(愛のリンゴ)」などと呼ばれています。
日本にトマトが伝わったのは、江戸時代前期の17世紀半ば。最初は観賞用として伝わり、明治以降、キャベツ、玉ねぎなどと同時期に、食用として改めてヨーロッパやアメリカからもたらされました。

栄養について
注目のリコピン
トマトの栄養素のなかでもとくに注目されているのがリコピン。リコピンは、動植物に含まれる赤や黄色、オレンジなどの色素「カロテノイド」のひとつ。近年、カロテノイドには強い抗酸化作用があることがわかってきましたが、なかでもリコピンの抗酸化作用は強力で、ビタミンEの100倍ともいわれています。
抗酸化作用が大切なのは?
私たちは、呼吸によって体内に取り入れた酸素を使ってエネルギーを作り出していますが、この過程で取り入れた酸素の約2%が活性酸素に変わるといわれています。活性酸素には体内に侵入したウイルスや細菌を退治するという大切な役割があります。しかし、ストレスや喫煙、紫外線、大気汚染などが要因となって必要以上に活性酸素が増えると、健康な細胞まで酸化してシミやしわなど老化の引き金になるといわれています。そこで、活性酸素から酸素を奪い取って攻撃力をなくす「抗酸化作用」が注目されています。
リコピンだけじゃない!
トマトは、リコピンだけでなく、ビタミンやミネラルも豊富な健康野菜です。美肌効果のあるビタミンC、老化を抑制するビタミンE、ナトリウムの排出を助けるカリウム、腸内環境を整える食物繊維などがバランスよく含まれています。
毎日食べよう
リコピンは体内では作り出せません。そして、一度に大量に摂っても蓄えておくことができないので、継続して摂ることが大切です。また、最近の調査研究では、朝にトマトを食べるとリコピンが最も効率よく吸収されることがわかっています。毎朝の食事にトマトジュースや、トマトサラダをとり入れてみてはいかがでしょうか。
おいしく食べよう!
トマトのうま味を生かして
トマトには昆布と同じうま味成分のグルタミン酸が豊富に含まれているので、日本のだし感覚で料理のベースに使うのもおすすめです。また、リコピンは油に溶けやすく熱に強い性質があります。油と一緒に調理すると吸収率もアップします。
夏のおすすめレシピ
◆トマトそうめん
トマトをざく切りにして鍋に入れ、水を注いで煮崩れてくるまで煮る。ザルで濾して、塩で味付けしてソースをつくり、冷やしておく。あれば、ラッキョウやピクルスのみじん切りを混ぜておく。そうめんを茹で、氷水でしめて器に盛り、ソースをそっとまわりに流し込む。さっと茹でたオクラ、塩でもんだキュウリ、大葉などお好みの具材をトッピングに。オリーブオイルをたらしていただく。
◆電子レンジで作るドライトマト
ミニトマトを縦半分に切り、スプーンなどで種を取る。ペーパータオルなどで切り口の水気を切る。皿にペーパータオルを敷き、切り口を上にして並べて塩をまぶす。600Wの電子レンジに5分かけ、出てきた水分を拭き、ペーパータオルを交換してさらにレンジで5分。水気がなくなるまで繰り返す。塩の量、加熱時間はお好みで。
