重症化に注意!! 大人の感染症

風疹、はしか、おたふくかぜなどは、一般的に子どもの間で流行する病気ですが、最近は大人でかかる人が増えています。大人は免疫力が子どもよりも高いため、ウイルスからの抵抗も大きくなり、かかると重症化しやすく注意が必要です。

なぜ重症化する?

風疹、はしか、おたふくかぜなどの病気は、患者の大半は子どもですが、最近は大人でも感染する人が増加しています。病気に対する免疫力や抵抗力は大人のほうが子どもより高いので、感染しても症状は軽くてすむと思われがちですが、子どものときにかかるよりも重症化するケースが多いとされています。体の中にウイルスなどが侵入すると、大人のほうがよりしっかりとウイルスを排除しようと免疫機能が働くため、子どもより高熱が出たり、発疹がひどくなったりと症状が重くなってしまうことがあります。
さらに、大人の場合、無理に仕事を続けたり、体のどこかに疾患を抱えていて、それと合併症を起こし、重症化してしまうことも。子どもでは軽くすむ病気でも大人だと、命に関わることもあるといわれています。

注意すべき感染症

風疹

風疹は三日ばしかとも呼ばれ、軽い風邪のような症状から始まって、発熱に加え、額や顔、全身に発疹が広がります。最も注意が必要なのが、妊娠中の女性です。妊娠初期に感染すると、赤ちゃんが先天性心疾患、難聴などの先天性風疹症候群(CRS)で生まれる可能性があります。現在は男女ともに就学前に2回の風疹の予防接種を受けていますが、特に20~40歳代の男性は子どものころに予防接種を受けていないケースが多く、男性が外で風疹に感染し、自宅やオフィスに持ち込むこともあるので、妊娠中の女性が周りにいる男性は特に十分な注意が必要です。

【対策】
風疹にかかったかどうかわからない、もしくは予防接種を受けていない場合は予防接種を受けましょう。費用の補助をしている自治体もあります。
●昭和37年4月2日~昭和54年4月1日生まれ
中学生の時に女子のみ対象で学校で集団接種。男性は風疹の免疫がない人が多い。

●昭和54年4月2日~昭和62年10月1日生まれ
男女とも中学生の時に予防接種を受ける対象でしたが個別に医療機関で予防接種を受ける制度であったため、接種率が低いようです。

●昭和62年10月2日~平成2年4月1日生まれ
男女ともに幼児期に接種する対象でしたが、受けていない人や1回の接種だけでは抗体が不十分な人もいます。

●平成2年4月2日以降生まれ
男女ともに2回の個別接種を受ける対象ですが、2回目の接種率が低いとされています。

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)

おたふくかぜは4~5年に1度流行しています。唾液などを介して飛まつ感染する病気で、発症すると耳の下が腫れて痛み、発熱などの症状が出ます。さらに合併症が多く見られ、難聴や骨膜炎などを併発する可能性があり、おたふくかぜによって起こる難聴には現在のところ治療法がありません。また、15歳以上の男性がかかると約3割が精巣炎、睾丸炎を、女性の場合、約7%が卵巣炎を併発する可能性があり、妊娠初期には流産の危険もあります。

【対策】
おたふくかぜは、抗体価が下がることなどで、再感染する人もいます。幼児期に予防接種を受けたり、おたふくかぜにかかっていない人は抗体がないので、予防接種を受けておくと安心です。近くの医療機関などに相談してください。

はしか

はしかは正式には麻疹とよばれ、咳、高熱、発疹が特徴の急性ウイルス性疾患です。空気感染で広がるため、感染力が強く、ウイルスを持つ人とエレベーターに同乗しただけで、抗体を持たない人は感染してしまうといわれているほどです。症状も重く、高熱や咳のほか、結膜炎になることも。一度熱が少し下がっても再度高熱が出て、発疹が全身に広がります。熱が続き、免疫力が落ちるので、肺炎や脳炎も併発しやすくなります。

【対策】
はしかは、昔はよく流行し、子どもが一度はかかる病気であったため強い抗体を持っている人も多くいましたが、予防接種が普及したことで流行頻度が減少。しかし、近年の患者の年齢を見てみると、大半が20歳代から30歳代の人と10歳未満の子どもであり、この世代がワクチン未接種により免疫がない人が多いことを示しています。はしかの予防接種を1回も受けたことのない人は、かかりつけの医師にご相談ください。

夏に流行りやすい病気

手足口病

手、足、口に、水疱性発疹が現れるのが特徴。特効薬はありませんが点滴などで対処して、回復を待つこともあります。

咽頭結膜熱(プール熱)

プールの水を介して、口や鼻などの結膜から感染することが多い病気。大人が感染すると子どもより症状は重く、高熱やノドの痛み、目の充血などが数日続きます。