節電プログラムで電力不足の解決になる?

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それではここからは、「なぜ節電プログラムなどを始めなければならないほど電力が不足しているのか」について、改めて考えていきましょう。
東日本大震災直後に深刻さが指摘され、計画停電などが行われたことを覚えている方も多いのではないでしょうか?その後、全国の原発がすべて停止しましたが、今のところ電力不足や停電は起こっていません。
しかし、それから10年以上経ち、今になって深刻な電力不足が叫ばれています。家庭や企業に節電の呼びかけを行っているのです。
なぜ今、節電が必要なのでしょうか?
東日本大震災直後に叫ばれていた電力不足は、「発電設備容量」と「電力供給力」の違いがあると言われています。
電力供給力は「燃料の調達量」で左右されます。電力会社側から考えてみると、2011年度の電力供給計画は、2010年度中に作成しているため、原発の稼働を見込んだ量になっています。そのため、原発が使えなくなると、ほぼ火力発電で電力をまかなうことになりました。結果的に、元々の計画よりも多くの燃料を火力発電に使わなければならなかったため、必要な供給力が確保できなくなるだけではなく、計画外の燃料を大量に調達するには大きなコストがかかりました。
しかし、それでも発電設備容量は足りていたため、燃料さえ確保できれば、原発を動かさなくても電力供給力自体には問題はありませんでした。
東日本大震災から10年以上、現在に至るまで、全原発が停止した状態は続いています。しかし、設備容量的には、今の設備で十分に足りているのです。
なぜ今、電力不足が叫ばれているのでしょうか?
それにあたってまず考えなければならないのは、「火力発電の減少」だそうです。全国で火力発電所の休廃止が相次いでいるのだとか。
休廃止の理由としては、稼働しても採算が合わないという電力会社側の利益追求の都合です。
火力発電所は他の発電設備に比べて、施設を維持したり、運営したりするのに莫大な資金が必要です。現在は電力自由化に伴って様々な会社が電力を販売するようになりました。卸電力市場の取引拡大や、再生可能エネルギー電力の増大により、卸電力市場における電力の取引価格は低迷を続けています。そのため、発電しても安い値段でしか売ることができないので、火力発電所を全力で回すと採算が合わなくなるため、2022年だけで300万キロワットを超える火力発電所の休廃止が予定されています。経済産業省は2016年から2030年までの間に、約1853万キロワットの供給量が落ちると予想しています。
こうした背景がある中で、供給予備率が極めて低くなっているそうです。
供給予備率とは電力需要のピークに対し、供給量にどの程度の余裕があるかを示す指標。つまり、電力会社の余力を示す指標です。
7パーセントから10パーセントが基準値だと言われており、このぐらいの数値であれば電力の安定供給が保たれるそうです。4パーセント前後になると要注意、3パーセント前後なら電力不足に陥る危険性があると言われています。
では実際に電力会社各社の状況はというと概ね最低レベルの3パーセント前後だそうです。想像以上にひっ迫していますよね。東京電力に至ってはマイナスとなっている場合もあるのだとか。
電気というのは難しくて、たくさん作れるだけ作れば良いというものではありません。なんと言っても貯蔵できないからです。常に需要に合わせて供給を調整することが必要なのです。
ただ、ある程度の余裕を持たせておかなければ、事故や災害が起きた時、需要と供給のバランスが一気に崩れてしまいます。このある程度の余裕、という指標が供給予備率。予備率が高いほど電力に余裕があるため、とっさの出来事に対応できる可能性が高くなります。電力を安定的に供給させるためには、最低でも3パーセント以上の供給予備率が必要です。電力の需要は一定の時間の平均値に対して、常に3パーセント程度の上振れ下振れがあるためだそうです。3パーセント台になった時点でもしかすると需要と供給がぴったりと一致してしまう可能性があるので、3パーセントを下回ると、電力危機も考えられます。
気象変動による需要、発電機のトラブル対応などのため、7パーセントから10パーセントの予備率が、電力安定供給の目安だと言われているそうです。2022年1月から3月の東京エリアの見通しは、マイナス2.1パーセントから0.8パーセントと非常に低い数字。これはもはや安定供給ではないでしょう。
こうした事情から、今後ますます節電を考えなければならなくなりそうです。ぜひこの機会に節電を始めてみてはいかがでしょうか?
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