土用の日にウナギを食べる習慣の理由は?

画像提供:imagenavi(イメージナビ)
日本で「暑い時期を乗り切るために、栄養価の高いウナギを食べる」という習慣は万葉集にも詠まれているように古代に端を発するとされています。しかし、土用の丑の日に食べる習慣となったのは、文政5年(1822年 – 1823年)当時の話題を集めた『明和誌』(青山白峰著)によれば、安永・天明の頃(1772年 – 1788年)よりの風習であるのだとか。
農林水産省の広報用Webマガジンでは、鰻には夏バテ予防に必要な栄養素が豊富に含まれていると紹介されています。
しかし、日本における疲労研究の第一人者である大阪市立大学大学院特任教授の梶本修身さんによると、「栄養価の高いものを食することが当たり前になった現代はエネルギーやビタミン等の栄養不足が原因で夏バテになることは考えにくく、現代において夏バテ防止のためにうなぎを食べるという行為は医学的根拠に乏しいとされ、効果があまりない」としています。なんとなくウナギが売られているから食べてしまいますが、現代においてはそれほど意味がない、ということですね。
ウナギを食べる由来
ウナギを食べる習慣についての由来には諸説あり、「讃岐国出身の平賀源内が発案した」という説が最もよく知られています。しかし、平賀源内説の出典は不明で、前述の『明和誌』にあると説明するケースもありますが、『明和誌』には記されていません。平賀源内説は細かなバリエーション違いがあって、いずれも要約すると「商売がうまく行かないウナギ屋(知り合いのウナギ屋というパターンもある)が、夏に売れないウナギを何とか売るため源内の元に相談に赴いた。源内は、「本日丑の日」と書いて店先に貼ることを勧めた。すると、そのウナギ屋は大変繁盛した。その後、他のウナギ屋もそれを真似るようになり、土用の丑の日にウナギを食べる風習が定着した」というもの。
丑の日と書かれた貼り紙が効力を奏した理由は諸説あり定かではありませんが、一説によると「丑の日に『う』の字が附く物を食べると夏負けしない」という風習があったとされ、鰻以外には瓜、梅干、うどん、うさぎ、馬肉(うま)、牛肉(うし)などを食する習慣もあったようです。いずれも現代ではほとんど残っていませんよね。
実際にウナギにはビタミンA・B群が豊富に含まれているため、夏バテ、食欲減退防止の効果が期待できるとされていますが、前述の通り、栄養価の高い食品で溢れる現代においてはあまり効果は期待できないとされています。
そもそも、ウナギの旬は冬眠に備えて身に養分を貯える晩秋から初冬にかけての時期であって、夏のものは味が落ちるとされているのです。そう聞くと冬のウナギを食べてみたくなりますよね。
======
生活にお役立ちの情報がメールマガジンも受け取れる!【無料】Slownet会員登録はこちらから↓
