女性の方が寿命が長いのはなぜ?女性長寿の理由を探る

みなさんは最大何歳まで生きたいですか?
人生100年時代といわれ、100歳まで生きることも珍しくなくなってきました。
実際に人生の計算をするとき、80歳くらいまでではなく、100歳までのライフプランを考えることが求められますよね。

この寿命はどのように決まっていて、どのように伸ばすことができるのでしょうか?
自らの努力で寿命を延ばせるのであれば、できるだけ伸ばしたい、という方も多いでしょう。
また、男性より女性が寿命が長い理由は何でしょうか?

今回は寿命についての雑学をお伝えいたします。

あと何年生きられる?寿命は診断できる?寿命に影響するものは何?

あと何年生きられる?寿命は診断できる?寿命に影響するものは何?

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基本的に人間の寿命は延びてきています。
日本の平均寿命を見てみると、1950年では男性58.0歳・女性61.5歳でしたが、1960年男性65.32歳・女性70.19歳、1970年男性69.31歳・女性74.66歳、1980年男性73.35歳・女性78.76歳、1990年男性75.92歳・女性81.90歳、2000年男性77.72歳・女性84.60歳、2010年男性79.64歳・女性86.39歳となっています。
将来的な予測では、2020年男性80.93歳・女性87.65歳、2030年男性81.95歳・女性88.68歳、2040年男性82.82歳・女性89.55歳、2050年男性83.55歳・女性90.29歳、2060年男性84.19歳・女性90.93歳となっていくようです。

参考

内閣府の資料
https://www8.cao.go.jp/kourei/kou-kei/24forum/pdf/tokyo-s3-2.pdf

このように昔と比較するとかなり寿命が延びてきていることがわかりますよね。

平均寿命とは

ではこの平均寿命という言葉からまずは考えていきましょう。

平均寿命というとすべての人の亡くなった年齢の平均だと思いがちです。
しかし、厚生労働省人口動態・保健社会統計室によると、「亡くなった人の年齢の平均を出しているわけではない」そう。

平均寿命は、その年の死亡者がこのまま変わらないと仮定した上で、その年に生まれた子どもがその後何年生きるかを推計したもの。
とても難しいですが、簡単にいうと、2020年の平均寿命が80歳だとしたら、2020年に生まれた子どもの平均寿命が80歳という意味になります。
2020年に亡くなった人の年齢の平均が80歳というわけではないのです。

平均余命

平均寿命の統計が発表されると、「今60歳だからあと20年生きる」と考える方も多いのではないでしょうか?
上の例と照らし合わせると間違っていることがわかりますよね。

このほかにも、余命という考え方を用いてみましょう。

0歳と60歳の平均余命は違うもの。

例えば2017年に結果が発表された北海道男性の平均寿命は80.28歳です。
しかし、45歳の人は81.41歳、65歳の人は84.25歳と年齢が上がるにつれて余命が伸びている傾向が見られます。
例えば75歳の人なら、平均寿命は87歳なのです。

これは上で挙げた「○○年に生まれた子ども平均寿命」という考え方が用いられるため。
現在60歳の人なら60歳未満で亡くなることは絶対にありません。
そのため、平均寿命も長くなる、ということですね。

地域によって差がある平均寿命

この平均寿命は在住の都道府県によっても違いがあるようです。

例えば、平均寿命が長い県は滋賀県(男性)と長野県(女性)。
滋賀県は男性81.78歳、長野県は女性87.67歳とかなり長寿な件なのです。

一方で平均寿命が短い県は青森県と沖縄県。
青森県は男性78.67歳とかなり短いことがわかりますよね。
沖縄県も男性80.27歳とかなり短いのです。

沖縄県は働き盛りである45歳から65歳の男性の死亡率が高いそうです。
沖縄県は早死にしやすい県、ということがわかります。
一方で80歳以上になると死亡率は全都道府県のなかで最も低くなります。
このことから、沖縄県は長生きする人は長生き、しかし、若い世代の「早死に」が多いことで平均寿命が短くなっている、ということがわかりますよね。

一体なぜなのでしょうか?

生活習慣が原因のひとつでしょう。

アメリカ統治下だった1960年代、沖縄は肉の加工品が急速に普及しました。
肉を中心とした食生活を経験した世代が大人になった頃には、脂肪摂取量が全国平均を上回った状態に。
さらに日本に返還された後は塩分摂取量が増えたそうです。
このほか、沖縄は車社会であることから運動不足の問題も深刻だそう。

社会の変化が沖縄の早死にの原因のひとつになっているでしょう。

青森県はどうでしょうか?

青森県は生活習慣の問題がありそうです。

習慣的喫煙率は全国ワースト9位、食塩摂取量がワースト8位、平均歩数の少なさが32位、肥満度の平均値がワースト5位など、さまざまな生活習慣がワーストの状態です。
こうした事情から弘前大学や青森県などが対策に乗り出し、少しずつ改善されてきているそうです。
平均寿命こそ短いですが、急激に伸びてきているそう。

寿命はこうした生活習慣なども大きく関わっていることがわかりますよね。

寿命は遺伝する?

寿命は遺伝する、長寿家系だから、なんてよく耳にしますが、本当に長寿の家系、長寿の遺伝子というのは存在するのでしょうか?

基本的に寿命は遺伝するそうです。
ただし、遺伝がすべてではなく、環境の影響を多分に受けるそう。

詳しくは角谷産科婦人科院長・角谷哲司氏の論文で報告されているので興味がある方はご覧ください。

参考

長寿は遺伝するか?―長寿の遺伝学― 
https://home.hiroshima-u.ac.jp/masters/TSS-gakumon-sanpo/22-8-kadotani.pdf

寿命は女性の方が長い理由

寿命は女性の方が長い理由

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さて平均寿命を見てみても女性の方がかなり長いことがわかります。
なぜ女性の方が平均寿命が長いのでしょうか?

世界的に見ても女性の方が長生きの傾向があるそうです。
発展途上国であっても同様の傾向が見られます。

人間の平均寿命が延び始めたのはワクチンが開発され、医療が発達した19世紀中頃から。
この頃にはすでに女性の方が平均寿命が長かった、というのだから驚きです。

女性の方が平均寿命が長い理由として「エネルギー消費量」「ホルモン分泌」「メンタル」「生活習慣」が挙げられます。

まずは一般的に男性は筋肉質で女性は脂肪が多く付いているもの。
そのため男性は基礎代謝量が多く、基礎代謝が少ない女性の方が省エネルギーで生きられます。
基礎代謝が少なく、省エネルギーのほうがさまざまな環境に適応しやすいので女性の方が長生き、という説もあります。

また、女性ホルモンも長生きの要因。
女性ホルモンに含まれるエストロゲンは高血圧を抑制し、コレステロール値を下げる作用があります。
女性ホルモンがあるからこそ、女性は心血管疾患が少ないのです。
このほか、アディポネクチンも女性の方が多く分泌されるため、動脈硬化を予防する働きなども優れています。

一般的に女性の方が男性よりもコミュニケーションが高いとされています。
周囲の人に話すことで悩みやストレスを発散できているのです。
ストレスはさまざまな病気を引き起こす要因となりますので、ストレス発散しやすい女性の方が長生きなのでしょう。

また、過酷な仕事は男性が受け持つことが多いこと、男性の方が行動力がある場合が多く、事故に巻き込まれやすいこと、喫煙・飲酒が多いことといったことなどが男性の寿命を縮めている要因とする見方もあります。

いずれにしても、男女が完全に同じ役割をこなしたからといって平均寿命が同じになることはあり得ない、といえそうですね。

重要なのは「健康寿命」

重要なのは「健康寿命」

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平均寿命だけでなく、健康寿命にも気を配りたいもの。
2016年のデータでは男性の健康寿命72.14歳、女性74.79歳となっています。
このときの平均寿命で見てみると、男性80.98歳、女性87.14歳なので、男性は9歳弱、女性は12歳強、亡くなるまで健康でいられない期間が存在します。

健康寿命は「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されています。
寿命を延ばすことも大切ですが、健康寿命に気を配り、健康寿命を延ばすようにしましょう。