「もしも認知症になったら、財産の管理はどうすればいいだろう」
自分で財産の管理ができる元気なうちは問題ありませんが、そのうち認知症になってしまった場合はどうすればよいのでしょうか?
シニア世代になるとそんな風な不安を抱えている人も多いと思います。

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そんないざという時に備えて、信託会社ではなく、財産を家族に託すことができる信託商品があることをご存知ですか?
老後の不安の一つでもある財産について考えていきましょう。
信託の仕組みとは
まずはよく耳にすることが多い「信託」について簡単に学んでみましょう。
言葉は知っていても仕組みは知らないという人も多いのではないでしょうか?
「信託」とは委託者が信託行為(例えば遺言も信託行為です)によって、自分の大切な財産を信頼できる人(受託者)に対しお金や不動産を託し、受託者は委託者の目的に沿って、その財産を運用・管理をしていく制度です。
主に、家族や大切な人のために利用される他に、ビジネスや公益、福利を目的に利用されています。
それでは信託の基本的な仕組みについてですが、信託は「委託者・受託者・受益者」この3者からなる制度です。
この3者の役割は次の通りです。
・委託者(自分)・・・お金や株などの財産を預ける(信託する)人。
・受託者(信託銀行など)・・・委託者からの財産を受け取り、信託の目的に沿った財産の運用・管理をする人。
・受益者(利益を受ける人)・・・信託された財産から生じた利益を得る人。
そしてこの3者によって財産は「自分の財産を信頼できる人に預ける」「受託者はその財産を運用・管理を行い利益を生む」「生まれた利益は受益者の手に渡る」という動きをします。
最近話題の投資信託は、「投資信託運用会社」で作られ、主に証券会社、銀行、郵便局などの「販売会社」を通じて販売され、多くの投資家からお金を集めるという仕組み。
投資家から集めたお金はひとつにまとめられ、資産管理を専門とする「信託銀行」に保管してもらいます。
運用会社は集めたお金をどこにどのように投資するのか? を考え、その投資の実行をお金を管理している信託銀行に指示します。
投資信託をすでに行っている方ならわかるかと思いますが、株の売買などは投資信託運用会社が行います。
どのような株を買うのか? というのが販売されている投資信託によって異なり、日本国内の株だけ、アメリカの株だけ、国債だけ、などさまざまな種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあるので、購入する側がしっかりと判断しなければなりません。
投資信託などでは将来的にお金が増えていくかもしれない、というメリットがある半面、投資信託運用会社の投資がうまくいかなかった場合、減ってしまうというデメリットもあります。
「増やす」のではなく「守る」ために

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前項では信託の基本的な仕組みについて学びましたが、次は信託を利用する目的について知っていきましょう。
なんのために信託を利用するのかを知ることで、自分がどうすればよいのかも見えてくるはずですよ。
現在、信託を利用する目的は4つの目的で利用されているようです。
それが「ためる・ふやす」「まもる」「つなぐ・ゆずる」「やくだてる」の4つです。
一番多い目的はおそらく「ためる・ふやす」ではないでしょうか。
これは資産運用を目的とした利用で、信託銀行などが自分の代わりに証券や不動産の運用を行う利用法です。
しかしシニア世代の人におすすめしたいのは「まもる」目的での信託です。
「まもる」は資産管理を目的としており、将来のためや老後の安定のために備える利用法です。
高齢者の財産の管理に利用されているほか、企業では従業員のための企業年金などにも信託は利用されています。
また、「つなぐ・ゆずる」を目的にしている人は資産継承として、子どもや孫の結婚や子育てのサポートをするために信託を利用しています。
誰に何を残したいのかを考えて

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信託についてここまで話してきましたが、信託を利用する上で大切なことは「何のために、誰のために信託するのか」だと思います。
財産の管理や教育費、子どもや孫の結婚資金、自身の死後の残された家族のためなど、言い出したらキリがないほどの目的が出てきます。
使用目的は委託者の自由に決めることができるからこそ、しっかりと目的を見据えて置くことが大切なのです。
また、信託の商品の種類は豊富で、自分で管理できなくなった場合に備えたものも存在します。
「家族預金委託」は自身での管理が難しくなった場合に、自分に代わって信託銀行が管理を行う信託です。
「民事信託コンサルティング」は家族や身近な人に財産を託す信託で、信託契約に沿って資金の使い方が決まるので安心して利用できます。
このように信託は自由度も安全性も高く安心して運用することができます。
みなさんもいざという時に備えた資産運用を心がけていきましょう。