増えています!大人のぜんそく

「ぜんそく」は子どものころにかかっても成長とともに治る病気、というイメージがありますが、成人してから発症することもあります。大人のぜんそくは過去30年で約3倍にも増加しているといわれています。

大人も発症する

ぜんそくは、空気の通り道である気道(気管支など)に炎症が起きて、気道が狭くなったり、たんが詰まりやすくなったりして、空気の通りが悪くなる病気です。炎症を繰り返すと気管支が過敏になり、運動するとき、冷たい空気を吸ったときなどに、せき込んだり胸が苦しくなったりします。重症化すると気道内部が腫れてたんが詰まり、空気が吸えなくなる発作を起こすことがあります。
小児ぜんそくを患っていた人が大人になってから再発するケースもありますが、大人のぜんそくの大半は成人してから突然発症したものです。また、小児ぜんそくのほとんどはアレルギーが原因と考えられていますが、大人のぜんそくの多くは風邪やストレス、喫煙などさまざまな要因が関係して発症する、アレルギー反応を特定できない「非アトピー型」と考えられています。小児ぜんそくの経験がなくアレルギー体質でもないために、症状が出ても受診が遅れる場合が多く、注意が必要です。

初期症状は風邪と似ている

初期の段階では、せきやたん、鼻水が出るなど風邪と似たような症状があります。ぜんそくだと気づかずに放っておくと、突然激しいせきの発作が起こる事も。呼吸の時に「ゼーゼー、ヒューヒュー」という音がする、夜中から明け方にかけてせき込むことが多いなどの症状が見られる場合はぜんそくの可能性があります。また、ぜんそくの前段階といわれる「せきぜんそく」にも注意が必要です。症状はせきだけで、ぜんそくのような息苦しさはないため「風邪が長引いている」と思いがちですが、放っておくと約3割が本格的なぜんそくに移行するといわれています。大人のぜんそくは自然治癒することはほとんどありません。受診して適切な治療を受けることが大切です。

<ぜんそくの主な症状>

・呼吸をするたびにゼーゼー、ヒューヒューという音がする
・夜中から明け方に激しく咳き込む
・何もしない状態でも突然激しくせき込むことがある
・運動するとせき込んだり、息が苦しかったりする
・疲れやストレスを感じると息が苦しくなる
・タバコの煙、強い香水などのにおいを嗅ぐと息が苦しくなる

環境を整えて改善

症状が気になる時は、すぐに医療機関を受診しましょう。また、原因となる環境を改善して、悪化を防ぐ事が大切です。

◆副流煙にも注意

喫煙は気道の炎症を悪化させるので、禁煙しましょう。また、喫煙しない人も副流煙をできるだけ避けたほうがよいでしょう。

◆ハウスダストを減らす

こまめに掃除をして、カビ・ダニの発生を防ぎましょう。自宅以外でも、オフィスや営業車の中など長時間を過ごす場所の掃除と換気も行います。ペットを飼っている人はペットの毛が原因になることも。

◆ストレスを溜めない

ストレスもぜんそくを引き起こす要因といわれています。忙しい年度末ですが、適度に休憩をとるなどして、ストレスを溜めないようにしましょう。

市販薬の選び方

長引くせきを止めるために、市販の風邪薬やせき止めを飲み続けているということはありませんか? 市販のせき止めにはぜんそくの症状を悪化させる成分が入っている場合があります。症状が変わらない、症状が悪化するなどの場合は自己判断せずに、薬剤師医師に相談しましょう。