夏の熱帯夜はなかなか寝付けなくて次の日、寝不足を感じる方が多いのではないでしょうか?
寝不足を補うために昼寝をして、また夜寝付けず、昼夜逆転してしまう悪循環に陥ることもありますよね。
寝不足は身体に一体どのような影響があるのでしょうか?
夏の寝苦しい夜、きちんと寝られるためにはどのような習慣や方法があるのでしょうか?
今回は夏の不眠症についてご紹介いたします。
熱帯夜の不眠症、続くと体に悪影響が。寝不足で陥る病気とは?どのような治療がある?

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暑くて寝られない、朝起きたら汗がびっしょり、布団に入ってから30分以上寝付けない・意識を失ったように眠ってしまう、夜中に何度も目を覚ます、朝起きたときスッキリとしていなくて身体がだるい、日中眠気があり居眠りしてしまう、睡眠時間が日によって異なる、休日は平日よりも2時間以上長く眠って寝だめしている。
いかがでしょうか?
多くの項目が当てはまる人はよく眠れていないといえます。
原因はさまざまありますが、今の季節は「暑さ」が原因のひとつになっているかもしれません。
睡眠不足が慢性化すると「睡眠負債」になることも。
睡眠負債改善は「黄金の90分」が鍵
「睡眠負債」という言葉をよく耳にするようになりました。
睡眠負債とは日々の睡眠が足りないことよって、心身に深刻なマイナス要因が積み重なっていく状態のこと。
睡眠負債が積み重なっていくことで判断力が低下するだけでなく、精神の健康を害してしまう可能性が高まります。
睡眠はしっかりととりたいものですが、具体的にポイントやコツなどはあるのでしょうか?
その答えは「黄金の90分」にあります。
人の眠りには「レム睡眠」(=脳は起きているが、体は眠っている状態)と「ノンレム睡眠」(=脳も体も眠っている状態)の2種類があり、一定周期で交互に入れ替わりながら人間は睡眠を取っています。
一般的にノンレム睡眠のほうが深く眠っているため、起こすのが難しいほど熟睡する人も多いそう。
人は入眠すると、まずノンレム睡眠が訪れます。
特に最初のノンレム睡眠は睡眠全体のなかで、もっとも深く眠るとされており、この段階の人を起こすのはとても難しく、無理に起きたとしても、頭がボーッとした状態で眼を覚まします。
睡眠負債の返済方法
この最初のノンレム睡眠が「黄金の90分」なのです。
ノンレム睡眠中の90分の眠りを、いかに深くできるかがポイント。
ここでしっかりと深く眠ることができると、その後の睡眠リズムが整い、自律神経やホルモンの働きが良くなり、翌日のパフォーマンスが向上します。
逆に、この最初の睡眠でつまづいてしまうと、どれだけ長く寝ても自律神経が乱れたり、日中の活動を支えるホルモンの分泌に狂いが生じてしまうのです。
睡眠に悩んでいる方は、入眠の最初の90分をしっかりと眠れるよう対策をすると良いでしょう。
90分の眠りの質を上げるポイントは「『体温』と『脳のスイッチ』」にあります。
体温には内部の体温である「深部体温」と手足の温度である「皮膚温度」の2種類があります。
深部体温は日中ほど高く、夜間に低くなりますが、皮膚体温は昼に低く、夜間に高くなるという特徴があります。
健康な人の場合、入眠前は手足が暖かくなり、毛細血管から熱を発散することで深部体温を下げます。
日中は深部体温と皮膚温度の差は2度ほどですが、入眠時は2度未満になり、差が2度未満になると人は快適に眠りにつけるそうです。
睡眠前にお風呂に入ったり、足湯に浸かったりなど、皮膚体温を上げる工夫をすると良いでしょう。
次に脳のスイッチについて。
興奮状態ではなかなか眠れませんよね。
日中受けたストレスや肉体的な披露は脳を活動モードにしてしまいます。
特に最近では24時間営業のお店があったりするなど、光からストレスを受けやすい環境にあります。
そのため、脳は常に興奮状態、といっても過言ではありません。
脳のスイッチを入れるポイントは「単調」と「退屈」。
風景が変わらない真っ直ぐな道路を走っていると眠たくなることはありませんか?
これこそがまさに「単調」と「退屈」なのです。
刺激のない、つまらない状態を作ることで脳のスイッチがオフになり、深い眠りにつきやすくなります。
また、スマートフォンやパソコンの仕様はできれば睡眠前は控えるのがベスト。
さらに入眠時間を決めることで、体のリズムが整い、眠りやすくなります。
このようにちょっとした工夫で、夜はぐっすりと眠れるようになります。
アルツハイマー型認知症リスクを避けるためにも、質の高い睡眠を心がけてみませんか?
治療法・セルフケア
このほか、呼吸に集中してストレスを緩和したり、夕食に香辛料やアルコールを控えたり、寝る直前までスマートフォンやパソコンをいじることをやめたり、朝はしっかりと起きる、といったセルフケアが有効です。
実際に病院でもこれらの指導をされることが多いそうです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
寝付きが悪い人は思考が止まらず、どんどん覚醒していくという傾向があるそうです。
そのため、次々に頭に湧いてくるネガティブな思考を意図的に断ち切る必要があるわけです。
そこでおすすめなのが呼吸に集中する方法。
呼吸だけに意識をおけば、気がついたときには眠れているかもしれません。
また、夕食に唐辛子、胡椒などの香辛料を控えるのも有効。
香辛料には交感神経を刺激する作用があるので、夜に激辛フードを食べると寝付きが悪くなったり、睡眠の質が悪くなりがち。
このほかコーヒー、紅茶、力者などのカフェインも覚醒作用があるので、夜は控えた方が良いでしょう。
アルコールが代謝されてできるアセトアルデヒドにも覚醒作用があるので、寝る3時間前にはカフェイン入り飲料やアルコールは控えるといいですね。
最近は手軽さからついついベッドでスマートフォンをいじってしまいがち。
しかし、スマートフォンなどが発するブルーライトは脳を刺激すると言われています。
さらにそのときスマートフォンで見ている文字や映像などでも脳が刺激されるので、眠れなくなる原因に。
寝る前はスマートフォンを見ないようにしましょう。
このほか就寝時間にメラトニンを分泌させるため、朝日をしっかりと浴びることも大切です。
朝起きたらカーテンを開け、太陽の光を全身で浴びましょう。
雨でも晴れでも、曇りでもこうした習慣を取り入れることで体内時計のリズムが整い、夜、自然に眠れるようになります。
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